2008年9月1日

日常のなかの「美」

9月に入りました。
まだ残暑が残る毎日ですが、夏休みも終わり、日も少しずつ短くなってきた今日この頃。
laboのとなりの空き地には、最近赤とんぼがたくさん飛びまわり、秋の訪れを感じさせます。


秋といえば、食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋・・・
そんな楽しみがたくさんあるなか、今日のlaboブログは、工場を少し抜け出して、日本の芸術の一つ「民藝」にふれた一日をご紹介します。


先日、島根県出雲市で「日本民藝夏期学校」が3日間開催され、その公開講座に参加してきました。


参加した日は、島根県にある「出西窯」の創立メンバーである、多々納弘光さんの講座がありました。
(出西窯の作品は、grafショールームでも一部取り扱っています。)

講座の中では、柳宗悦、河井寛次郎、バーナード・リーチなど出西窯が指導を受けた9人の民藝の師父達とのエピソードをお話されました。


「人が使いやすい物を一生懸命つくる」
下記の漁師用の釣り鐘火鉢は、「用途が生み出した美」であると河井寛次郎氏が絶賛された火鉢です。使いやすく丈夫なものを作れば、美は後ろから宿ると教えて頂きました。



柳宗悦氏が求めた美は「健康と誠実—健やかさとあたたかさ」は時と場所をこえる・・・そういうものを喜ぶことこそ民藝の喜びがあると、多々納さんより教えていただきました。

また民藝の先人達の多くが語られた自我を捨てるということ—
「無心の中の美」(柳宗悦氏)、「自慢の心を捨て、自我を捨てる」(バーナード・リーチ氏)、「無名の心、民藝の美しさは自我をこえたもの」(外村吉之介氏)などなど・・・

自我をなくし、使う人のことを考え、使う人に喜びや美を感じるものを提供するものづくりに対する姿勢、先人達の教えは、いつの時代も変わらない普遍の真理のような、すばらしい言葉ばかりで、ものづくりをしている私たちにとって心に響く教えでした。



講座が終わってから、出雲民藝館を案内して頂き、実際に民藝にふれることができました。
当時、実際に使われていた陶器や染め物が展示されており、その品々のご説明を、多々納さんが楽しくお話してくださいました。

この日の体験を通して、民藝への奥深い魅力を感じました。


またgrafの家具も、使う人のことを考え、grafの家具が皆さんの生活に喜びと美しい空間を提供し、そして一人でも多くの方に実感していただけたらいいなと思います。

最後に講座の中で言われていた「100年デザイン」(100年経っても変わらず愛されるデザイン)という言葉が印象的でした。

100年後もgrafの家具が皆さんの生活になじみ、喜びをもたらす家具になればいいなと思った一日でした。


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